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未回収債権の原因と回収方法

未回収債権は、企業の資金繰りに直結する重大な経営リスクです。支払期日を過ぎても入金されない債権を放置すると、時効によって請求権そのものが消滅する恐れがあります。 このページでは、未回収債権の定義や類似用語との違いを整理したうえで、具体的な回収ステップや法的手続き、発生を防ぐための対策まで順を追って解説します。

未回収債権とは?類似用語との違い

未回収債権の定義

未回収債権とは、取引先との契約で定めた支払期日を過ぎても入金されていない金銭債権のことです。請求書の発行や商品の納品は完了しているものの、代金の支払いだけが遅れている状態を指します。

売上としては計上済みであっても、実際には現金が回収できていないため、現金回収までのタイムラグが長期化している状態。この段階で適切に対処しないと、滞留債権や不良債権へと移行していくため、早期の把握と対応が求められます。

売掛金・滞留債権・不良債権の違い

これらの用語は混同されやすいものの、それぞれ債権の状態が異なります。

売掛金は、支払期日前の通常の営業取引から生じる未収入金であり、約束どおり入金される前提の債権です。

滞留債権は、支払期日を過ぎても入金されず遅延状態が続いている段階を指し、未回収債権と実質的に同じ意味で使われます。

不良債権は、取引先の経営悪化や所在不明などにより回収が極めて困難、もしくは事実上不可能と判断される段階の債権で、貸倒損失処理の検討が必要になる状態です。

未回収債権が発生する原因

単純にミスをしている

最も考えられるのが、債務者や債権者が何らかの理由でミスをしている可能性です。債務者が支払い期限を忘れている、払ったと思い込んでいた、請求書を紛失してしまい支払いがあることに気づいていない、などです。

債権者のミスによっても未回収債権は起こります。債権者が請求書を送付したつもりで失念しているケースが主な原因です。

このようなミスが原因で起こった未回収債権は、支払いの意思がある債務者であれば、穏便に連絡を取ることで支払いが行われ解決します。

債務者からのクレーム

すでに物品やサービスは納品されているにも関わらず、未回収債権が発生することがあります。このケースでは、納品物に問題があったり請求額が異なっていたりして、債務者がクレームを入れることからはじまります。

債務者からのクレームが発生したら、納品物や請求内容に相違がないかを見直しましょう。その後、債務者と支払いについて話し合い、納得してもらう必要があります。

債務者の資金問題

債務者に支払い意思はあるものの、資金繰りに問題があり支払えない場合があります。この場合、資金難解消の目途があれば、分割払いや期限の繰り延べなど返済計画を立て直すことによって何とか支払わせることができます。しかし、破産寸前まで問題が大きくなっている場合、債権の回収は極めて困難です。最悪の場合、破産による債権回収不能に陥る可能性もあるでしょう。

そもそも支払う意思がない

ミスやクレーム、資金難など上記に挙げた問題がないにもかかわらず支払われない場合、そもそも債務者に支払いの意思がない可能性もあり得ます。

悪質な事案では計画倒産や踏み倒しを図るケースもあり、債権を回収するまでに時間を要します。債務者に支払う意思が見られないと判断したら、弁護士に依頼して、民事訴訟などで解決を図らなくてはなりません。

未回収債権を放置するリスクと経営への影響

取引先の経営状態が良くないと、当然、未回収リスクは高くなります。支払い期日の先延ばしや分割払いへの変更など、条件の変更を申し出てくる場合には注意が必要です。会計事務の影響による変更の可能性もゼロではありませんが、複数回にわたって変更の申し出があった際には不渡りのリスクが高いと考えておきましょう。

取引先社員の離職が目立つ、取引先銀行の変更など、取引先のこれまでにない動向にも注意してください。業績不振によって経営状態が悪化している可能性もあります。

1. キャッシュフローの悪化(黒字倒産)

未回収債権が増加すると、帳簿上は利益が出ていても手元に現金がない状態に陥ります。そのため、仕入代金や人件費、借入金の返済に充てる資金が不足し、資金繰りが急速に悪化。最悪の場合、黒字決算であるにもかかわらず支払い不能となり、倒産に追い込まれる可能性もあります。

2. 時効による権利の消滅

未回収債権を長期間放置すると、法的な請求権そのものが時効によって消滅する恐れがあります。

2020年の民法改正により、多くの取引債権は「権利を行使できることを知った時から5年」で時効が成立するのが原則。督促や交渉の記録を残しながら、時効完成前に適切な法的手続きを検討する必要があります。

3. 回収コストと労力の増大

未回収債権は時間が経つほど回収の難易度が上がり、それに伴ってコストや労力も増えていきます。担当者による電話や訪問、内容証明郵便の送付、弁護士への相談といった対応を重ねるたびに、人的・金銭的な負担が膨らむことを避けられません。回収額に対して費やしたコストが見合わなくなるケースも見られます。

未回収債権の回収方法

直接連絡する

まず、債権者に直接連絡して支払いを催促し、債権を回収できるように努めます。債権者と直接連絡を取ると、支払いが遅れている事情を確認できますし、支払いの意思について確認することもできます。また、すでに支払いは済んだが、行き違いで反映されていなかっただけだった、といったことも判ります。

内容証明郵便を送付する

直接連絡をしても支払われない、支払期限を延長したのに期限までに支払われないなど、債権を回収するのが困難だと感じたら、内容証明郵便で請求書を送付します。

内容証明郵便は相手に郵便を送付した日付を証明できるため、その日付が記録として残ります。法的効力はありませんが、裁判にまで発展した際に証拠になるなどのメリットがあります。

法的手続きを行う

内容証明郵便で催促しても回収が進まない場合は、法的手続きへの移行を検討します。法的手続きには、民事調停、支払督促、少額訴訟、民事訴訟、強制執行などがあり、債権額や回収段階に応じて使い分けることとなります。

支払督促とは、裁判所に書面で申し立てることで、相手方が異議を出さなければそのまま強制執行に進める簡易な手続き。少額訴訟は60万円以下の債権を対象とし、原則1回の期日で判決まで進むため、迅速な解決が期待できます。一方、通常訴訟は金額が大きい場合や争点が複雑な場合に用いられ、複数回の期日を重ねながら主張と立証を行っていく手続きとなります。

未回収債権の発生を抑えるには?

未回収債権が発生すると、回収までに手間も時間もかかります。未回収債権の発生を少しでも抑えるには、債権者側によるミスを防ぐことも大切です。

相手が個人の場合の注意点

相手が個人の場合、給与や預貯金、不動産などの資産状況を外部から把握するのが難しいため、強制執行の実効性を慎重に見極める必要があります。

また、相手の家計や生活状況に踏み込む交渉になりやすいため、感情的な対立が生じると長期化する傾向がある点にも注意しましょう。

支払計画の提案や分割払いの相談など、相手の状況にも配慮したコミュニケーションを心がけることが大切です。

どうしても回収できない場合の貸倒処理

貸倒損失として計上できる3つの要件

貸倒損失として経費計上するには、税務上の要件を満たす必要があります。

要件は、「法律上の貸倒れ」「事実上の貸倒れ」「形式上の貸倒れ」の3つ。法律上の貸倒れは破産や民事再生などで債権が法的に消滅したケース、事実上の貸倒れは長期にわたる取引停止や度重なる督促でも回収の見込みがないと判断されるケース、形式上の貸倒れは一定の少額債権を一括で切り捨てる場合などが該当します。

税務上のメリットと注意点

貸倒損失として認められれば、その分だけ課税所得が減り、法人税の負担を抑えられる可能性があります。

ただし、税務調査では「本当に回収不能といえるのか」が厳しく確認されるため、回収努力や相手先の状況を証明する書類が重要。督促状や内容証明、取引停止の通知、弁護士からの書面など、客観的な証拠を残しておく必要があります。

処理時期や金額の妥当性も含め、必要に応じて税理士への相談を検討しましょう。

請求管理の見直し

請求漏れによる未払いを防ぐために、請求管理を見直しましょう。請求書の発行や送付、入金、支払遅延時の対応など一連の請求業務を債権者側でしっかりと管理しておけば、ミスを防げます。

資金繰り表の活用

資金繰り管理のために作成する資金繰り表を未回収債権に役立てることもできます。資金繰り表があると、事業資金のうち未回収の債権が何件あるか、いくらあるか、事業を運営するのに影響がいつ出るのかなどを具体的に把握しやすくなります。

契約前の信用調査(与信管理)

新規取引先と取引を始める前には、財務内容や支払実績を確認する与信管理が大変重要です。商業登記簿で代表者や所在地、資本金などを確認し、必要に応じて信用調査会社のレポートも活用し、取引先の売上規模や資金繰りと自社が予定する売掛残高・支払サイトのバランスを見極めるようにしましょう。

これらのリサーチに基づいて取引限度額や条件を無理のない範囲に設定すれば、将来の未回収債権の発生リスクを低く抑えることができます。

契約書の締結と支払条件の明確化

口頭の約束やメールだけで取引を進めると、支払期日や遅延時の対応をめぐって認識のズレが生じやすくなります。そのため、必ず取引基本契約書や個別契約書を交わし、支払期日・支払方法・遅延損害金・所有権移転時期などを明文化しておくことが大切です。

契約内容を文書化することで社内共有もしやすくなり、回収フローの統一や督促開始の判断基準も明確になります。結果として、未回収債権への移行を未然に防ぎやすくなります。

未回収債権はスピード勝負。専門家への相談も視野に。

未回収債権は、早期に対処するほど回収の可能性が高まり、かつ回収に要するコストも抑えやすくなります。与信管理や契約内容の見直しに加え、入金遅延の兆しを把握した段階で、速やかに社内ルールに沿って督促や条件交渉を進めていくようにしましょう。自社での回収や判断が難しい場合は、弁護士などの専門家に相談し、法的手続きも含めて適切な対応策を検討することも大事です。

継続的な管理体制を整えるには、債権管理システムの活用も有効な選択肢となるでしょう。

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画像引用元:株式会社マネーフォワード公式HP(https://biz.moneyforward.com/receivable/)

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