債権管理が特定の人に特定の行為や給付を請求できる権利を指すのに対し、売上から資金化までの猶予を与信管理といいます。
与信管理は、企業が取引先に対して売上から資金化までの猶予を与えることを指します。具体的には、取引先の信用度やリスクを評価し、適切な与信限度額を設定するプロセスです。与信管理の流れは主に4つに分けられます。
第一に、取引先に関する情報収集を行います。情報の集計方法はさまざまであり、官公庁の資料を閲覧したり、インターネットで検索したり、直接取引先に訪問したりするのが一例です。短期間で詳細な情報を入手したい場合は、専門調査会社などを利用するのもおすすめです。
次に、信用力を評価します。損益計算書や貸借対照表は重要な評価指標ですが、経営評価にはそれだけでは十分ではありません。多角的な視点から企業の将来性を評価することが必要です。
そして、与信限度額を決定します。これまで行ってきた調査や評価を参考に、取引先に応じた与信限度額を設定します。一月あたりの掛売りの上限を決めておくことで、安心して取引を行えるでしょう。与信限度額を適切に設定することで、リスクを最小限に抑えながら取引を進めることが可能です。
与信管理は、企業の安定性と成長をサポートする重要なプロセスです。適切な与信限度額を設定することで、取引先との信頼関係を築き、円滑なビジネスを進めることができます。
そして最後に、契約条件の交渉を行います。一通り調査や取り決めを行った後は、お互いに契約条件を提示し最終的な交渉に移ります。両者の合意がとれた元で取引が開始されるのです。会社の業績は年を経るごとに変化するので、定期的に見直さなくてはなりません。取引先の様子や限度額をこまめにチェックしておくのが賢明です。
「特定の人に特定の行為や給付を請求できる権利」を指す債権管理。「債権」は、企業間取引において、買い手企業に対して請求する立場にある企業が持っています。要するに、債権管理とは売掛金未収入金などを管理する業務です。基本的に、サービスを提供して売り上げが出ると売上金は掛け金として後日入金します。債権管理を行うのは確実に債権を回収するためであり、たとえ企業の活動で売り上げが出たとしても、売上自体を回収出来なければ資源や時間が無駄になってしまいます。与信管理と異なるのは、「取引後」に発生した売上金の回収管理を行う点。与信管理は取引先ごとに調査を行い、「取引前」に売上額を決定します。
商談が始まったところから開始される与信管理は、まず取引先の基本情報や財務諸表などから、取引相手が信用に足るかどうか分析します。一般的に、非上場企業など決算書を開示していない相手であっても、調査会社に頼めば情報を入手することが可能です。加えて、過去に取引をしたことのある相手と再度取引をする場合は、与信の判断材料になるので、自社で保有している情報も整理しておく必要があるでしょう。
取引相手の信頼性を分析したら、次は商談内容を分析します。取引によって採算がとれるかどうかや、取引量が見合っているか、リスクはないかなどの観点においてよく検討してください。上記のプロセスを経て、与信限度額を判断します。
基本的に、社内規定に沿って均一に情報収集を進めるのがポイントですが、客観的に集計した数字だけでなく、取引内容の将来性なども考える必要があるため、画一的な判断がむずかしい場面もあるでしょう。そのようなときは、ルールに則り、リスクを客観的に見定めるのが大切です。取引相手によって情報収集を甘くしたり、基準を緩めたりしてはいけません。いつでもルール通りに情報を収集するのが重要です。
さらに、関係部門と連携がとれていることもポイントの一つ。与信管理は取引相手によって限度額を随時見直さなくてはならないので、関係部門が入手した与信に関する情報を集約出来る体制がとれていなくてはなりません。取引相手と直接会う機会の多い営業部門に加え、支払い状況を管理している経理部門などから得られる情報は、有益な判断材料になるでしょう。
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