売掛金を放っておくと時効にかかってしまう可能性があります。ここでは、売掛金の時効を防ぐ方法について紹介します。
2020年4月以降に発生した売掛金の時効期間は、売掛金の支払期限から数えて5年です。例えば、2020年10月に商品を納品して代金は翌月末日払いの場合、売掛金の支払期限は、2020年11月末日です。そこから5年経った2025年11月末日が売掛金の時効となります。
また、2020年3月以前に発生した売掛金は、売掛金の支払期限から数えて2年となっています。2020年3月以前の場合、民法改正前の法律が適用されるためです。
売掛金の消滅時効は、売掛金の支払期限の翌日から数え始めます。例えばA社がB社に部品の製造を依頼して、B社が製造した部品に対する支払期限が4月30日だったとします。その場合、消滅時効は支払期限の翌日である5月1日から数えます。
時効を考えるうえで、商品・サービスの特定だけでなく契約上の支払期限も重要な要素であるため、正確な日付を把握しておくことが大切です。
回収できていない売掛金があるにもかかわらず何も対策していないと、気が付けば時効を迎えてしまいます。売掛金の時効は中断することが可能です。時効を中断させる方法のひとつとして、裁判所で訴訟を起こす方法があります。
まずは支払督促を行います。支払督促とは、裁判所を通じて債務者に債権(売掛金)の支払いを督促してもらう手続きのこと。手続きも簡単なので、実際に訴訟を提起する前にこの手続きをし、様子を見るケースも多いです。
必要書類を用意し、債務者の住所を管轄する簡易裁判所に提出して申立を行います。受理されたら裁判所が支払督促を発令。債務者が支払いに応じれば、支払督促は終了です。
売掛金の金額が60万円以下の場合、少額訴訟の制度を使用することができます。少額訴訟ならば、簡易裁判所での裁判は基本1回で終了します。原告の主張が認めてもらえれば勝訴判決が得られ、強制執行へと進みます。
まずは、簡易裁判所に訴状を提出。受理後、原告へ審理・判決の期日の連絡と手続き説明書面が交付されます。被告は簡易裁判所に答弁書と証拠書類を提出し、簡易裁判所はこれを受理して原告に交付します。原告と被告の双方が追加の証拠書類や証人を準備し、審理に入ります。
売掛金の額が大きい場合、通常訴訟を提起しましょう。ま少額訴訟を提起した場合でも、被告が解決に反対したり、異議申立を行ったりした場合は通常訴訟に移行します。
回収したい金額が総額140万円を超える場合であれば地方裁判所に、140万円以下の場合簡易裁判所に訴状を提出。被告側も答弁書を提出し、法廷での審理が開始されます。なお、通常訴訟を行う場合、自身で手続きを行うのはとても困難であるため、弁護士に依頼するのが一般的です。
売掛金を中断させる方法として、差し押さえがあります。売掛金を回収するための法的手段としてよく使われている手です。まず、裁判所に申立をして債務者の財産を差し押さえ、勝訴した場合に差し押さえた財産を現金化して回収します。
メリットは、債務者が財産を売却してしまうのを防ぐことができ、売掛金を回収できる確率が上がる点です。また、債務者もできるだけ差し押さえを回避したいので、その話が出た時点で交渉に応じる可能性があります。
デメリットは、債務者が破産したり民事再生を行ったりした場合、差し押さえる財産がなくなってしまうことです。そのため、債務者の動向を確認しつつできるだけスピーディーに手続きを進めていく必要があります。
債務者が時効になる前に支払期限を過ぎた売掛金があることを承認した場合、その時点で時効が中断します。債務者に承認させる方法を紹介します。
一部弁済の交渉を行います。債務者が「売掛金を一度に全額支払うことができない」と主張した場合であったとしても、一部だけでも支払いに応じればその時点で時効が中断します。
債務者がすぐに売掛金が払えない場合、対応期限を質問してみましょう。その結果、「〇月×日までに支払う」と支払期限の延長を申し込んできた場合も、時効が中断します。
債務者が売掛金を期日通り支払っていないことを認めた場合、「債務弁済契約公正証書」を作成します。作成することによって債務を確定し、新たに定められた期限通りに払込が履行される効果が期待できます。
一方、当事者が記載を求めなかった事項に関しては何の強制力も持たないため、弁護士などの専門家に相談した上で作成するようにしましょう。
万が一時効が過ぎてしまっても、絶対に売掛金の請求ができなくなるわけではありません。売掛金は最大5年で時効が成立しますが、支払期日から5年を経過しても債務者が時効成立を主張しなければ消滅時効の効果は確定しないのです。
ですが、当然時効を迎える前に売掛金を回収できた方が良いため、慎重かつスピーディーに対応することをおすすめします。いきなり法的手段に訴えるのではなく、話し合いで解決する姿勢を示すのも大切です。
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