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前受金を管理するポイント

前受金を管理するポイント

商品やサービスを提供する前に受け取る「前受金」について、管理するポイントを解説します。

前受金とは

前受金とは、サービスや商品を提供する前に受け取る「預かり金」のような意味合いを持つものです。一部または全額を受け取った際に前受金を使用し、将来的には売上高になります。

売上高になるのはサービスや商品の提供が済んでからですが、お金を受け取ったことから何らかの科目で処理する必要があります。その際、一時的な処理のために使用するのが、前受金です。

前受金には商品やサービスを提供する義務があるため、「貸借対照表」のうちの「負債」として扱われています。前受金を受け取る時点では商品やサービスを提供していないため、お客様からキャンセル依頼があった場合は応じて前受金を返還する必要があります。

具体的に使用されるのは、手付金や商品の代金の前払い、工事代金の前払い、不動産取引で発生する手付金や残金などです。継続的でないサービスや商品の代金を事前に受け取った際に使用します。

前受金の会計処理の注意点

前受金の会計処理を行う際、注意しなければならない点があります。

正確に処理をする

入金後に商品やサービスを提供した場合は、前受金から売上高に振り替える必要があります。そのためには、商品やサービスの動向をしっかり把握することが大切です。

商品やサービスを提供したにもかかわらず売上の勘定科目への振り替えを忘れると、負債のまま取り残してしまうことになります。財務諸表の信頼にもかかわる問題ですので、正確に処理するようにしましょう。

企業の勘定科目のルールに従う

勘定科目は各企業の独自のルールで選定できるため、ルールに沿って処理する必要があります。

どの勘定科目を使うのか、どのように仕分けをすればよいのか、判断できないときは上司や責任者に確認しましょう。

建設請負工事には「未成工事受入金」を使う

前受金は商品やサービスの内容を問わずに使える勘定科目です。しかし、工事期間が長く1件当たりの単価が高い建設請負工事には「未成工事受入金」を使用します。

建設業独自の勘定科目で処理する必要があるため、請負工事の処理の際は注意が必要です。

前受金を見分ける方法は?

前受金と類似した勘定科目を見極めるには、3つのポイントを抑えておくことが大切です。

資産か負債かを見極める

まずは資産科目か負債科目かを見極めて計上することが重要です。

科目を見極めるには、資産科目を権利、負債科目を義務と考えるとよいでしょう。この場合、前受金はサービスや商品を提供しなければならない「義務」を負っています。したがって、貸方に負債として処理することになります。

損益への影響を考える

勘定科目が損益に影響するかを考えましょう。

商品やサービスの提供後に、前受金は売上高に振り返ります。つまり、将来的には収益に影響すると考えられます。

注意しなければならないのは、「売上高」に振り替えるタイミングです。必ずサービスや商品の提供を終えた後に振り替えないと、期間損益に影響が出てしまいます。

また、複数の前受金を受け取った場合は、区分管理を適切に行い、前受金を残さないようにしましょう。

マトリックス図で把握する

マトリックス図とは、縦軸と横軸を用いて項目の関連度合いを表す図です。マトリックスに「預り金」「前受収益」「売掛金」などの勘定科目を配置し、資産か負債かを横軸、損益に与える影響を縦軸に設定することで、勘定科目を把握しやすくなります。

前受金を管理するポイント

前受金管理を行うには、仕訳や計上するタイミングなどを把握しておくことが大切です。

ここでは、前受金を管理するポイントを解説します。

前受金を売り上げとして計上できるタイミング

前受金は、商品やサービスの提供が完了した時点で、売上として計上できます。サービスを提供する前に受け取ったお金は売り上げとしては計上できませんが、なんらかの処理をする必要があります。

企業は一定のタイミングで損益を計算する必要があり、前受金を売り上げとして処理するタイミングがずれたり、忘れたりすると、期間損益に影響を与えてしまいます。

とくに決算期には、前受金の残高が0円になるようにしましょう。前受金の残高が残ったまま期末になると、取引内容が不明瞭のままで決算になってしまいます。不明瞭な状態では企業の信頼性を損なう可能性もあるため、タイミングを把握しておくことは大切です。

サービスや商品の提供が完了した時の仕訳

サービスや商品の提供が完了すると、納品する義務がなくなります。したがって、負債である前受金が消滅します。これを前受金の取り崩しといいます。

例えば、「前受金1万円を受け取った状態で10万円のサービスの提供が完了し、残りの9万円を現金で受領した」場合は、以下の3つを表す必要があります。

  • 負債の1万円が減った
  • 現金が資産として9万円増えた
  • 収益の売上高が10万円増えた

このような場合の記載方法は、次の通りです。

  • 借方に前受金10,000円と記載
  • 借方に現金90,000円と記載
  • 貸方に売上100,000円と記載

取引がキャンセルされた場合

商品やサービスに対するよう金を受け取った後にキャンセルが発生した場合、受け取った料金を貸方、返金する前受金を借方に記載します。

手数料やキャンセル料金などには損害賠償金といった名目が使われることもあります。事務手数料として受領する分は課税対象ですが、損害賠償金として受領する分は課税対象にはなりません。

事務手数料や損害賠償金をキャンセル料として一括で受領する場合も、課税対象外になります。

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画像引用元:株式会社マネーフォワード公式HP(https://biz.moneyforward.com/receivable/)

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