資金繰りや取引先との信頼関係にも影響を及ぼす請求漏れ。このページでは、請求漏れを防止する方法を解説します。
請求漏れとは、支払われる予定の売掛金が期日を過ぎても支払われないことです。商品やサービスの提供を先に行い、あとから代金を受け取る場合には売掛金が使われます。一般的には月末締めの翌月払いで期日を設定し、まとめて支払われるものです。
しかし、請求書の送り忘れなど、なんらかの理由で支払われないことがあります。
支払う側からすれば、いつまでにいくらを入金すればよいのか、請求書がなければ分からない状態です。そのため、請求書を送り忘れていると多くの場合は支払いが行われません。
請求漏れが起こるのにはいくつかの原因が考えられます。
請求書の送付忘れがあったとしても、代金は支払われるであろうと考える方もいるでしょう。しかし、実際には多くの企業が請求書がなければ代金は支払わないと規定しており、請求漏れがあれば入金処理を行いません。
取引先が請求漏れに気付いて連絡をくれることもありますが、お互いに気付いていなければ即座に対応することはできません。
売掛金には時効があり、請求漏れに気付かなければ売掛金が消滅してしまう可能性もあります。
請求漏れがあった場合、気づいた時点で取引先に連絡をし、早急に請求書を送付しましょう。
請求漏れが発生すると、相手からの信頼関係や資金繰りなど、さまざまな面でリスクが発生します。
考えられる主なリスクは以下の通りです。
資金繰りの面では、確実に債務管理を行うことが重要になります。
売掛金の場合、代金が支払われるよりも先に仕入れが行われます。商品を作るための材料などの仕入を先行して行うため、売掛金の入金が遅れるほど資金繰りが悪化する可能性があるのです。
請求漏れがあると資金繰りに影響を及ぼすので注意しなければなりません。
請求漏れは取引先の資金管理にも影響を与えます。予定していた期日に支払いが行われないと、資金管理を滞らせてしまうだけでなく、請求管理が粗末な企業だと思われて、信頼関係を損なう恐れがあります。
取引先との信頼関係を築き維持するには、請求漏れを防ぐことが重要です。
2017年に民法が改正され、売掛金は5年経過した時点で消滅時効が成立することになりました。時効が適用されるのは2020年4月以降に発生した債権のみですが、消滅時効があることは覚えておく必要があります。
2020年3月以前に発生した債権については、職種によって時効が異なる旧民法が適用されます。
時効は期日を過ぎて自動的に成立するわけではありません。債務者が時効であることを主張し、援用を行うことで成立します。したがって、時効が過ぎてしまった場合でも、債務者が支払いを承認すれば問題なく支払ってもらえます。
さまざまなリスクが付きまとう請求漏れですが、管理方法を工夫したりシステムを導入すればトラブルを防ぐことができます。
Excelを用いて管理内容ごとにシートを作成し、一覧で管理することで請求漏れを防げます。
Excelは使い慣れている人が多く、誰でも取り扱いやすいソフトの一つです。また、カスタマイズも柔軟にできることから、自社に合った管理方法で管理ができます。テンプレートもweb上に多数公開されているため、カスタマイズが難しい人でも簡単に取り扱えます。
ただし、デスクトップ版のExcelは複数人での同時編集ができません。サブスクリプションサービスに加入すれば、リアルタイムで同時編集もできるようになります。
管理画面上に取引先情報などを入力するだけで請求書を自動発行できる、請求書作成ツールを使いましょう。ツールを使うことで請求ミスも防ぎ、業務の効率化も図ることができます。
請求書作成ツールで作った請求書は、印刷して送付することも、PDFでメールに添付することもできます。
ただし、ソフトウェアをダウンロードしなければならなかったり、アップデート作業を自社で行う必要があったりと、手間や初期費用は掛かります。
請求管理システムとは、請求書の発行・納品書の発行・支払明細書の発行など、請求に関連する作業を一元化できるシステムです。機能性の高いシステムであれば、支払い督促や決算書作成などもシステム上で一貫して行えます。
請求管理システムを使えば業務を自動化できるので、請求漏れや請求ミスも防ぐことができるでしょう。
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